聴器癌(外耳道癌)

  サイバーナイフ(以下CK)が有利な点は、治療後に癌が残存しても、安全にサルベージ手術ができることである。その他に、3-5日間の短期間の通院治療で済むこともCKの好ましい点である。   

  最も確実な治療手段は手術による一塊切除である。一塊切除(en bloc resection of the petrous bone)は手技が難しく、これをスムーズに実施できる医師は世界にもそう多くはない。手技の難しさと術後後遺症によるQOLの低下(患側聴力喪失、場合により平衡障害、顔面神経麻痺、咬合不全、咀嚼障害)から、医師も患者も手術を敬遠する傾向がある。その結果、多くはCCRTによる治療がおこなわれている。重粒子線、陽子線も有効な治療法だと考えられる。しかし、癌を根治させるという観点から、これらの治療には問題が無いわけではない。治療後に癌が残存した場合、あるいは1,2年後に再発した場合に、複雑に頭蓋底骨が介在する部位で、しかも根治線量で照射を受けている側頭骨を安全に一塊切除できるかどうか、あるいは安全に再建できるかどうか、この点が問題になる。このことは、多部位の癌についても同様で、CCRT後のサルベージ手術では術後創傷治癒が不十分で、合併症の頻度が高まる。

  一方、これに対しピンポイント照射のサイバーナイフでは、照射野が限局しているため、サルベージ切除では高線量照射部位の大部分は再発癌とともに切除される。切除された術野には低線量照射領域の組織が残り、創傷治癒を妨げることは少ないのである。T1,T2症例の大部分はCKで完治する。

 

 

外耳道癌 SCC 65歳女性 T3N0

20年以上にわたり、断続的に外耳道炎で治療を繰り返していた。

血性耳漏、難聴、耳痛で耳鼻科受診、生検の結果SCC、当科に紹介された。

術後の機能傷害、QOL低下から、CKを希望。

 

CT:  中耳に広く浸潤し

MRI: 一部に硬膜浸潤も認められた。

 

CK治療後2年の外耳道所見

 

40db-50dbの混合難聴、疼痛なし、

顔面神経麻痺なし、平衡神経障害なし、

治療後3年生存

 

 

CK線量分布:  腫瘍の形態に照射野を絞ることができる。

           100%、90%線領域に注目

千葉徳洲会病院    http://www.chibatoku.or.jp/

 耳鼻咽喉科

 頭頸部外科センター

  

2013年9月で三田病院を定年退職しました。

引き続き、頭頸部腫瘍(悪性・良性を問わず)を中心に診療を続けます。

サイバーナイフ治療は横浜サイバーナイフセンターと提携し、これまでどおり実施しております。

セカンドオピニオンは随時受け付けております。

 

鎌田信悦 (カマタシンエツ)