頭頸部癌腺様嚢胞癌(ACC)

初発症状 : 流涙、鼻根部痛、内眼角皮下硬結

鼻腔より内視鏡下に生検、ACCの病理診断を得た。

 

浸潤範囲 : 腫瘍は鼻涙管、涙嚢に充満し、下鼻道に達していた。

眼窩内側骨壁は吸収され、腫瘍の一部は眼窩内に浸潤し、眼球に接していた。

 

治療法の検討 : 眼球を保存しても、内直筋の合併切除は避けられないので、複視は必発である。

根治を確実にするには眼摘が有効と考えられる。下眼瞼皮下浸潤を切除するには顔面皮膚の一部の合併切除が必要。一塊切除後の欠損部に遊離組織移植を行う。

 

患者の治療選択 : QOL優先の観点から手術以外の治療を希望した。

CCRT, IMRT, 粒子線、 サイバーナイフを提案したところ、サイバーナイフを選択。

 

サイバーナイフ線量分布図
サイバーナイフ線量分布図

 

サイバーナイフ線量分布 : 腫瘍は幾何学的に複雑な形態であったが、12ccの腫瘍浸潤に一致した線量分布が得られている。健側は言うまでもなく、眼球線量を極力抑えるころが

 

線量 : 総計30Gy.の線量を3分割、3日間連続で照射した。 頭頸部癌における至適線量については定まったものはないが、治療部位の組織耐容性、腫瘍容積、照射野内重要臓器の有無などを勘案して症例ごとに設定している。

治療結果
治療結果

治療結果 : 左画像が治療前、右が腫瘍が消失しCRを得た画像である。

 

急性期反応 : 鼻根、下眼瞼皮膚に発赤を認めたが、ビランは生じていない。

           鼻腔粘膜に一部限局的偽膜形成がみられた。 

           一過性の結膜炎と眼脂もあったが、点眼薬で対応した。

 

晩期有害事象 : 鼻涙管の開通はなく、線維化で閉塞。

            疼痛なし、視力障害なし、皮膚・粘膜炎なし

 

臨床経過 : 3年以上、原発巣の再発は認められず、QOLを維持したものの、遠隔転移のため亡くなった。

上咽頭ACC, Boost治療
上咽頭ACC, Boost治療

 

蝶形骨翼状突起基部を破壊し、蝶形骨洞内に浸潤し、V2神経麻痺症状を呈する上咽頭ACC症例である。妊娠を強く望んでいたことからCRTではなく、RT単独治療を行った。

 

66Gy.の照射でPRを得たが、RT終了後3ヶ月経過した段階で腫瘍の残存が認められた(ヨードアレルギーで造影CT不可のため、残存腫瘍の輪郭がスライド画像では明確ではない)。

 

生検でも"viable cell" 多数との結果であったため、サイバーナイフによるBoostを実施した。

 

 

線量分布と治療結果
線量分布と治療結果

 

左図 : Boost治療直前の上咽頭粘膜面の腫瘍(左鼻腔から撮影)

 

線量分布 : RT後のBoostでは、照射部の壊死は避けたいところである。照射野はmargin をとらず、残存腫瘍ギリギリに絞って設定した。しかし、内頚動脈の一部は95%doseに含まれた。腫瘍容積は僅か7cclであった。

 

線量 : 30Gy. 3分割

 

結果 : 特に有害事象はなく、CRのまま4年が経過した。 リンパ節転移も遠隔転移もみられていない。

 

上顎癌ACC、術後再発
上顎癌ACC、術後再発

 

症例 : 62歳女性、上顎癌(ACC)T4N0、拡大全摘+腹直筋皮弁による再建手術後3年目に断端再発。

 

上図 : 鼻中隔・下甲介に再発、再手術も考えたが、硬口蓋全切除となり、プロテーゼの固定が悪くなり、構語・嚥下・咀嚼障害が生じる可能性が高かった。この症例はこれまで放射線治療の既往歴はまったくなく、再発腫瘍も限局していたのでサイバーナイフの好適応と判断した。

 

下図 : 治療結果。 2年半CRを維持している。特に有害事象は認められていない。QOLも維持されている。

PETーCT 
PETーCT 

 

 

サイバーナイフ治療前、後の PETーCT画像

 

FDG集積の有無が治療効果を示している

上顎癌ACC、拡大切除の再発
上顎癌ACC、拡大切除の再発

 

 

左眼窩内容除去術後4年目、眼窩外側壁に再発

 

手術も検討したが、顔面組織欠損の拡大によるQOLの更なる低下を避け、サイバーナイフを選択した。

 

約2年の経過を観察したが、CRを得ている。 SRS とは Stereotactic  Radiosurgery の略称で、 分割照射ではなく、1回照射を言う。

上顎癌ACC、術後再発
上顎癌ACC、術後再発

上顎全摘と外側大腿皮弁による顔面頬部再建を行った症例である。

術後1年後、再発(赤円マーク)。サイバーナイフ治療を行った。特記すべき有害事象はなく、腫瘍は消失した。しかし、サイバーナイフ後2年8ケ月多発遠隔転移のため、亡くなった。

千葉徳洲会病院    http://www.chibatoku.or.jp/

 耳鼻咽喉科

 頭頸部外科センター

  

2013年9月で三田病院を定年退職しました。

引き続き、頭頸部腫瘍(悪性・良性を問わず)を中心に診療を続けます。

サイバーナイフ治療は横浜サイバーナイフセンターと提携し、これまでどおり実施しております。

セカンドオピニオンは随時受け付けております。

 

鎌田信悦 (カマタシンエツ)