喉頭ACC(1)  60歳 女性

  喉頭癌ACCの治療法として、手術は当然第1選択として考えられると思います。一般に、ACCは放射線抵抗性癌であると言われておりますが、サイバーナイフの経験から言えば、それは当たっておりません。サイバーナイフの最もよい適応はACCだと思っております。喉頭のACCもサイバーナイフで治療をしてみたいところですが、まだ症例報告は出ておりませんので、本症例では手術を採用いたしました。切除をするときの margin は、ACCではSCCよりも若干広めにすることは多くの賛同を得られると思います。したがって、本症例はT2Noですが、切除はSCCのT3に準ずると考えられます。SCC、T3N0の切除であれば、いかに喉頭温存をするかは術者の腕の見せ所でしょう。私は気軽に前腕皮弁を使える(形成外科に頼まなくてもよい)立場から、無理やり局所皮弁で一次縫縮することはいたしません。組織欠損部に小さな前腕皮弁を移植することで、SCC、T3N0ならば、術後の誤嚥を心配することなく切除ができます。その理由は、喉頭挙上に関与する筋肉と神経の大部分を温存できるからです。加えて、頸皮と甲状軟骨を無理矢理縫合して、喉頭挙上を頸皮が妨げるという障害を作らなくて済むからです。

  内視鏡画像は、右声門下のACCを、CTは浸潤の範囲を示します。 根治を優先させるならば、喉頭全摘を勧めても当然だと思います。この患者さんは二つの病院で全摘を勧められ、音声喪失を受け入れることができず(天涯孤独という環境も影響したのかもしれませんが)、当院を訪れたものです。

 

図の説明   [左上] 皮切:甲状軟骨のほぼ中央で水平に切開

         [右上]  甲状軟骨剥離:胸骨舌骨筋を左右に引き、甲状腺を峡部で切離、左右に分離、                          左甲状舌骨筋、左胸骨甲状筋を切離

         [左下] 喉頭垂直部切: 

 

 

[図]

千葉徳洲会病院    http://www.chibatoku.or.jp/

 耳鼻咽喉科

 頭頸部外科センター

  

2013年9月で三田病院を定年退職しました。

引き続き、頭頸部腫瘍(悪性・良性を問わず)を中心に診療を続けます。

サイバーナイフ治療は横浜サイバーナイフセンターと提携し、これまでどおり実施しております。

セカンドオピニオンは随時受け付けております。

 

鎌田信悦 (カマタシンエツ)