巨大耳下腺腫瘍・顔面神経保存
巨大耳下腺腫瘍・顔面神経保存

 

 

   52歳男性、耳下腺多形腺腫、

        12X9cm

 

  腫瘍に気付いてから16年経過、他医にて悪性化の疑いを示唆され、手術の検討に入ったものの、訪問した二三の病院にて顔面神経麻痺のリスクが高いと説明を受け、顔面神経保存を強く希望して当院を受診した。ECHOガイドのFNA(3カ所)、いずれも多形腺腫であった。

  一過性の顔面神経麻痺の可能性はなくはないが、永久的麻痺が生じないであろうことを伝え、手術を実施した。

 

 

 

 

 CT画像
 CT画像

 

  顔面神経保存術

 

  このような巨大な耳下腺腫瘍を、顔面神経を麻痺させないで摘出できるか? 

どんなに経験を積んだ頭頸部外科医でも、自信をもって「Yes」と答えられる人はいなと思う。

しかし、患者には約束はしなくとも、内心「たぶん大丈夫だろう」という術前予測を持って手術を開始できる医師もいるに違いない。

  耳下腺良性腫瘍の摘出(浅葉切除)において顔面神経麻痺を残さず摘出する条件は、顔面神経に一切手を触れぬこと、第2に術後皮下血腫をつくらないこと、つまり術中の細心な止血である。これらの二つの条件は、顕微鏡下に血管吻合をすることに比較すれば、難しいことではないこの条件をまもれば、3cm、4cmの耳下腺腫瘍では顔面神経麻痺を生じることはない。。本症例はその実例である。

 

 


手術直後も断面神経麻痺はなく、全く正常であった。写真上段は退院時の記録である。

写真下段は、皮膚切開ライン、摘出腫瘍、その割面を示す。病理組織診断では悪性化は認められず、典型的な多形腺腫であった。

千葉徳洲会病院    http://www.chibatoku.or.jp/

 耳鼻咽喉科

 頭頸部外科センター

  

2013年9月で三田病院を定年退職しました。

引き続き、頭頸部腫瘍(悪性・良性を問わず)を中心に診療を続けます。

サイバーナイフ治療は横浜サイバーナイフセンターと提携し、これまでどおり実施しております。

セカンドオピニオンは随時受け付けております。

 

鎌田信悦 (カマタシンエツ)