三叉神経鞘腫(V2,V3)

38歳女性、三叉神経由来Schwannoma

主訴:V2,V3のシビレ感と知覚低下

三叉神経症状発現後約20年経過し、画像診断にて腫瘍を確認、他医にて口腔経由で生検、神経鞘腫と判明した。 摘出術を希望し、当科を受診した。

 

ダンベル状の頭蓋内浸潤Schwannoma
ダンベル状の頭蓋内浸潤Schwannoma

V2の自覚症状発現後、20年の経過で現在の腫瘍サイズに増大した。症例1に比較して腫瘍のdoubling time はかなり遅いと考えられる。神経鞘腫でも症例差があって当然であろう。

Fig.1:矢印で腫瘍範囲を示す。上顎洞後壁骨を圧迫し、口腔内(頬粘膜下)から腫瘍を触知可能。

Fig.2:正円孔はかろうじて保たれているものの、Fig.3で卵円孔、正円孔が圧迫拡大し一体化しているのが分かる。Fig.4:神経症状は三叉神経のみで、眼症状は認められなかった。

ダンベル状の腫瘍浸潤形態がよく分かる。翼状窩を占拠する巨大な神経鞘腫に連続して卵円孔から中頭蓋窩内に浸潤する腫瘍塊が確認できる。良性腫瘍であり、必ずしも一塊切除にはこだわらず、QOL重視の手術的アプローチが求められる。

術式は症例1.に準じて側頭開頭によるextra-dural tumor extirpation と頸部外切開による副咽頭間隙アプローチを採用した。まず側頭開頭で腫瘍を硬膜から剥離し、深部の三叉神経節からV2,V3を切断した。硬膜からのCSFの漏れはfibrin-glueで修復した。次に副咽頭間隙から腫瘍を剥離しつつ下方に引き出した。その際に主たる腫瘍塊が摘出され、頭蓋内浸潤部は残存した。頭蓋内から副咽頭間隙に落とし込むように腫瘍周囲を剥離し、摘出した。 手術操作で顔面神経が損傷しないように極力努力した。

 

 

腫瘍摘出後1年目の画像を示す。ダンベル状腫瘍の占拠部位を黄色のマークで示す。左右を比較すれば、完全摘出が確認できる。また、顔面神経麻痺も皆無であった。この種の腫瘍摘出術で重要なことは、言うまでもなく「慎重に愛護的で急がずに」であり、決して大胆であってはならない。ましてや「勇気と度胸」は有害である。ナビゲーションに頼らずともオリエンテーションがつくだけの解剖学的知識は必須である。術後5年が経過し、再発は認めていない。

千葉徳洲会病院    http://www.chibatoku.or.jp/

 耳鼻咽喉科

 頭頸部外科センター

  

2013年9月で三田病院を定年退職しました。

引き続き、頭頸部腫瘍(悪性・良性を問わず)を中心に診療を続けます。

サイバーナイフ治療は横浜サイバーナイフセンターと提携し、これまでどおり実施しております。

セカンドオピニオンは随時受け付けております。

 

鎌田信悦 (カマタシンエツ)